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水泳のアンビリバボーな話

第1話

《17℃の狂乱》作者:56

ゴールデンウィークも終わり、まもなく水泳シーズンも到来してくる5月初旬のある日である。
私は某体育大学の競泳部に所属しており、今年もプール掃除の日がやってきた。 体育大学ということもあり、50m屋外プールと飛び込みプールとすばらしい設備であり、特に飛込プールは10m台と板飛込台が6台とすばらしく水深も5mと万全である。 そんなある日、わたしは4年生ということもあり、下級生たちにすべてを任しプールサイドで同級生達と遊んでいた。
ふと、飛込みプールを覗き込むと飛込部も近々に掃除をするらしくプールの水を抜きはじめていた。


見たところ、水深2mくらいである。 私はもっと覗き込んで見たくなり一人板飛込台へ登りはじめ、反動を付けようと手前から一気に前方へジャンプしたその瞬間!

「ガッシャ~~~~ン」

と物凄い音と共に飛込プールにひとつの水柱がたった。
なんと、飛込部が掃除の準備のために飛板と台の止め具をはずしていたのだ。
私はなんとジャージを着たまま、飛板と一緒に2mほどしか水の入っていない水深5mのプールへ転落したのである。飛板台の高さも考えると約4mほどあり、マンションに例えると3階から落ちたのとほぼ同じである。  長年わたしはフリースタイルの長距離スイマーとして「I LOVE クロール」一本で泳いできたので、そんなことで長年掛けて身に着けてきたクロールの技術を忘れるはずはないのだ。
しかし、そんなわたしは転落の衝撃で我を忘れ「平泳ぎ」で泳いでおり、しかも溺れていたのである。 三歳より水泳をはじめ20年近く水泳(クロール)一本で生きてきたはずなのだが、その一瞬ですべてを忘れ溺れていたのである。水温は17℃くらいだろうか慌てふためき、水も1,5?ほど飲んだはずである。近くにいた仲間が助けていなければ、今頃、三面記事に「現役選手がプールで溺死」なんて書かれていただろう。 だが、わたしは断言するが、あの状況は日本記録保持者でも間違いなく溺れていると思う。
だって、びっくりしすぎて、寒すぎて転落した瞬間に両足が吊ってしまったのを微かに憶えている。 準備運動はしっかりと!