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水泳のアンビリバボーな話

第4話

火の用心

火の用心!!
それは、私が高校生の頃・・・。
私の通っていた高校の水泳部の部室はプールサイドから出入りするようになっており、プールの外側からは部室の様子が見えないように なっていました。 当時、私たち水泳部は何かあれば部室に集まり、授業をサボったり、 エッチな本を読んだり、時にはプールに金魚を放流したりして高校生活を 楽しんでおりました。
そんなある日、友人のA君が「今日、部室に泊まってみよう!」と言い出しました。
彼曰く、部室に泊まったらうるさい親もいないし、次の日学校を遅刻する こともないだろうと言うのです。
そんな誘いに乗ったのはB君と私、合計三人で部室に泊まることになりました。


授業が終わると早速買い出しです。 食べ物はもちろん、ビールやおつまみ、部室の明かりを点けると誰かに見つかると 思い、ロウソクまで買い込んで、B君宅で夜を待ちました。
そして夜・・・。
私達は息を潜め、校門を乗り越えプールサイドに着きました。 部室に入るとすぐ、明かりが漏れないよう、窓ガラスを毛布とガムテープで ふさぎます。 そして学食のウドンの器にロウソクを何本も立て、火を灯しました。
「準備よし!!」
さあ、宴会の始まりです!
プールサイドで、当時はあまり飲めなかったビールを飲み、友人達と 水泳の話や女性の話で盛り上がっていました。 しばらくして、A君が眠いと言って部室に消えていき、二人で話をしていた のですが、だんだん退屈になってきました。 そこで、水泳部女子の部室を探検しに行く事になったのです。 女子の部室の鍵の場所は、私が常にチェックをいれていたので、難なく進入成功!! そこには、男子の部室では味わえない官能的な香りが溢れておりました・・・。
しばらく探索した後、鼻の下の伸びきったB君と私は女子の部室をあとにしました。 そして、ふと男子の部室を見ると、毛布で明かりを遮断しているはずが、 とても明るいのです。しかし酒に酔っていた私とB君は「気のせいだろう」と、 またビールを飲んでいました。
しかし・・・明るいのです。
あきらかに、さっきより明るいのです。 どうしても気になるので、私とB君は部室のドアをそっと開けてみました。
すると・・・・・。
なんと、ウドンの器に立てていたはずのロウソクが倒れており、A君の眠っている ベンチをメラメラと燃やしているではありませんか!! しかも部室内は煙が充満しており、涙が溢れて目も開けられない状態です。 しかしA君は、それでもスヤスヤと夢の中・・・。 一気に酔いが醒めた私達は「起きろー!!」と叫びながら、火を消そうとしました。
しかしすでにテンパっており、部室の目の前のプールの水で火を消すなんていう 発想は微塵もありません。
消火方法は「息」です。
長年水泳で培った肺活量を駆使し、B君と二人で
「フー!フー!!」 ただひたすらに「フー!フー!!」です。
どのくらいの時間がかかったでしょうか・・・。なんとか火は消えました。
そして、それでも寝ていたA君を叩き起こし、部室の窓を全開にし、燃えたベンチを 隠し、何事もなかったかのように部室を出て行きました・・・。
やっぱり「火事場のクソ力」って本当にあるんですね・・・・・。

Mr.K