アテネオリンピック女子800m自由形
2004年8月20日(現地時間)
スタート前
予選3位で通過した柴田亜衣の顔には笑みがあった。
後に聞けば「早く泳ぎたかった」らしい。それほど今までの練習に自信があったのだ
ろう。
柴田亜衣 3コース
ローハ マナドゥ(フランス)4コース
take your mark
飛込みが苦手な柴田はいつも通りのゆっくりなスタート。
一方マナドゥはスタートから飛び出していった。
前半から柴田とマナドゥの一騎打ちとなった。1位マナドゥ、2位柴田。
400mまでは世界記録より早いペース。そして600mまでは完全なマナドゥのレース。そ
れでも柴田は離されなかった。
600mのターン
柴田は「マナドゥに追いついているのがわかった」
ここからスパートをかけた。
だんだん距離が縮まっていった。
750mのターン
ここで柴田が1位マナドゥ2位。しかしほとんど差はなかった。
外国人選手はラスト50mで力を発揮してくる。マナドゥも例外ではなかったが、バテ
ていた。
しかし、柴田の泳ぎは2ビート。マナドゥは6ビート。スピードでは劣る泳ぎだった
が、1日20kmも泳ぎ込んだ持久力で補っていた。がむしゃらに手を回し、呼吸をマナ
ドゥ側にして泳いだ。
ラスト25mで完全にマナドゥを追い越した。
その時の実況が今でも憶えている。
「柴田がとんでもないことをしでかしそうだ!!!」
そう、とんでもないことだった。女子自由形日本人初の金メダル。いや、アジア初の
快挙だ。
私はもう、座ってなんかいられなかった。
10m、5m、ゴールタッチ。
全身がしびれたのは私だけではないはず・・・。
日本の自由形が世界に一歩踏み入れた瞬間だった。
これからも自由形で世界の舞台で活躍することを期待している