2023年4月6日(木曜日)15時30分 配信
◆競泳 ▽日本選手権 第2日(5日、東京アクアティクスセンター)
男子100メートル背泳ぎ決勝で、五輪4大会連続出場の入江陵介(33)=イトマン東進=が53秒46で優勝。2016年に自身が樹立した200メートル背泳ぎに並び、大会最多10連覇を達成した。タイムには満足しなかったが、派遣標準記録(53秒74)を突破し、8大会連続で世界選手権(7月、福岡)代表に内定。24年パリ五輪で競泳日本初の5大会連続出場を目指す鉄人は「もう一度表彰台に上がりたい」と語った。
新たな金字塔を打ち立てた入江は、少し表情を曇らせた。100メートル背泳ぎを制し、16年に26歳で達成した200メートルに続く2度目の10連覇。自身が持つ大会最多に並ぶ偉業だが、53秒46は目標の52秒台から大きく遅れた。「10連覇できて無事に(代表の)内定を頂けたことはうれしいけど、こんなに遅いタイムで来てしまって悔しい気持ちの方が大きい」。8大会連続で世界選手権を決めても、余韻に浸ることはなかった。
スタートの浮き上がりからトップに立つと、前半は25秒71でターン。ラスト15メートルから2位を体一つ引き離したが、ひとかきごとに加速する本来の伸びを欠いた。「前半を今のキャパオーバーで入ってしまったので、後半に詰まってしまった」。1月の北島杯でマークした52秒93より遅いタイムには「自分にガッカリした」と、苦笑いだった。
08年北京から五輪を4度経験し、1月に33歳になったベテラン。最近は内臓疲労による体調不良を繰り返すなど、体の変化も感じる。その中で第一線に立つ思いの片隅には、長らく若手ホープが不在の男子背泳ぎを引っ張る使命感もある。2月のコナミ・オープンでは約1年ぶりに200メートルに出場し、今大会の派遣記録1分57秒50を上回る1分56秒81をマーク。精神的負担から100メートルをメインにシフトしていたが「自分が出ないからといって、皆の視点が低くなるのが嫌だなと」。自ら壁となり、背中で示して若手の奮起を促した。
09年ローマ大会から出場が続く世界選手権は、実に8度目と鉄人の域。400メートルメドレーリレーを含め、計4個のメダルも獲得している。今夏の福岡世界水泳で、目指すは13年バルセロナ大会以来のメダルだ。「もう一度表彰台に上がりたいし、メドレーリレーもチャンスがあるので。日本代表としていい成績を残したい」。競泳初の5大会連続出場となるパリ五輪へ向け、弾みの年とする。(大谷 翔太)
◆入江 陵介(いりえ・りょうすけ)1990年1月24日、大阪市生まれ。33歳。イトマン東進所属。近大付高―近大卒。専門は背泳ぎ。五輪は2008年北京から4大会連続出場し、メダルは12年ロンドンで銀2個、銅1個を獲得。世界水泳は09年ローマで200メートル銀、11年上海で100メートル銅と200メートル銀、13年バルセロナで400メートルメドレーリレー銅。178センチ、64キロ。
スポーツ報知より