2021年7月29日(木曜日)08時51分 配信
◇東京五輪第6日 競泳(2021年7月28日 東京アクアティクスセンター)
男子200メートルバタフライ決勝は本多灯(ともる、19=アリーナつきみ野SC)が1分53秒73の自己ベストで銀メダル。今大会の日本男子初の表彰台となった。
日本男子競泳陣の危機を、19歳の成長株が救った。V候補だった瀬戸や松元の不振もあり、競技開始4日でメダルなし。本多は「流れがよくなかったので、僕が一発ぶちかましたい」と燃えていた。150メートルを4番手でターン。得意のラスト50メートルで2人を抜いた。自己ベストを0秒50更新し「本当にうれしい。うれしくてはっちゃけてしまいました」。プールから上がると、大挙するカメラマンの前で筋肉を強調するポーズを連発した。
憧れの存在を超えた。19年夏、瀬戸と一緒に欧州の大会を転戦。厳しい練習をこなしながら好記録を出す姿にほれた。「どうすれば速くなりますか」と尋ねると、答えは「練習だよ」。シンプルな言葉が心に刺さった。飛躍のきっかけは昨秋にハンガリーで開催された国際リーグ。不倫問題による活動停止処分中の瀬戸の代役で出場し、世界を肌で感じた。五輪延期ショックなどで練習不足に陥った瀬戸と対照的に、昨年はトレーニングに励み、今年は自己ベストを連発。この種目で準決勝敗退した瀬戸から「自分のレースをしたら表彰台に上がれる。おまえならできる」と思いを託されていた。
日本競泳は64年東京で銅メダル1つと惨敗。本多は57年前の悪夢再現を阻止するメダルを獲得し「悪い流れをかき消してきました」と胸を張った。優勝した世界記録保持者のミラクには2秒48差で完敗。早くも次の目標を24年パリ五輪の金メダルに設定した。「次の五輪では僕もミラクも楽しめるレースをしたい」。メダリスト会見で隣に座った2歳年上の絶対王者へ挑戦状を叩きつけ、3年後に向けて走りだした。
▽64年東京大会の日本競泳陣 60年ローマ五輪までに11個の金メダルを獲得し、地元で多くのメダルを期待されていたが、最終種目の男子800メートルリレーで獲得した銅メダル1個に終わった。強化策を見直し、翌年からは日本各地にスイミングクラブが誕生。現在の競技力の礎となった。
【本多 灯(ほんだ・ともる)】
☆生まれとサイズ 2001年(平13)12月31日生まれ、神奈川県出身の19歳。1メートル72、75キロ。
☆家族 父・正光さん、母・聡子さん、兄・光太さん、空さん。3人兄弟の末っ子。
☆競技歴と実績 兄の影響で3歳から水泳を始める。男子200メートルバタフライで19年世界ジュニア選手権2位。
☆性格 明るく、笑顔が絶えない。気配りができて人を喜ばせることが大好き。カメラを向けると変顔をする。
☆好きな食べ物 幼少期から一貫して、卵。
☆趣味 ガンダムのプラモデル。インスタグラムでは組み立てた模型を披露。以前はレゴブロックも好きだった。アニメ観賞も好きで、お気に入りは「ガンダム」と「おそ松さん」。漫画「ジョジョの奇妙な冒険」も収集。
スポニチアネックスより