2020年4月16日(木曜日)08時43分 配信
競泳女子200メートル自由形の世界記録保持者で、北京オリンピック金メダリストのフェデリカ・ペレグリニが、新型コロナウイルスとの戦いが続く母国イタリアのために、貴重な品々を出品してオークションを開催した。
ペレグリニは、16歳でオリンピック初出場を果たした2004年アテネオリンピックの女子200メートル自由形で銀メダルに輝くと、4年後の北京オリンピックでは世界記録を更新して金メダルを獲得。これまでに国際大会で通算26個の金メダルと11度の世界記録更新を達成した。2009年にローマ世界選手権で樹立した世界記録(1’52“98)は10年以上経った現在も破られていない。
イタリア水泳界の女王は、新型コロナウイルスの爆発的な感染が集中する同国北部の医療機関をサポートするために自らオークションサイトを設立。SNS上で、「収益はベルガモ市の聖ヨハネ23世病院に寄付します。たくさんの方々の参加をお待ちしています!」と呼びかけ、オリンピックや世界選手権で実際に使用したアイテムを中心に、人気TV番組出演時の衣装など、ペレグリニ本人が私物59点を出品した。
この思い切った行動にSNS上でファンが反応。ペレグリニを称賛するコメントが多数寄せられた。
「すごいよ。やっぱり君は天使だ」「オークションに参加するぞ、絶対何か落札したい!」「フェデリカは最高!」「プールの中でも外でも、君はナンバーワンだ」「ベルガモからです。本当にありがとう!尊敬しかない」
ライブ配信により行なわれたオークションは、イタリア現地時間14日15時30分から2時間。限られた時間ながら落札総額は驚きの7万5,500ユーロ(約887万円)に到達し、大成功を収めた。インスタグラムで118万人のフォロワーを持つペレグリニの人気は想像以上のようだ。
なかでも注目のアイテムが高額で落札されたとのこと。北京オリンピックでの金メダル獲得時に着用していたゴーグルは、4,550ユーロ(約53万5,000円)。リオオリンピックの開会式で旗手を務めた時に着用していたスニーカーが、3,100ユーロ(約36万4,000円)。最高額は、昨年2019年に韓国の光州で開催された世界選手権の表彰式で着用したウエアで、5,100ユーロ(約60万円)。記憶に新しい直近の金メダル獲得に加え、史上初となる8大会連続メダル獲得の大記録達成が参加者の関心を集めたようだ。
オークション終了後、ペレグリニはイタリア国営放送RAIのインタビューを受け、「(参加者皆さんの協力に)感動しています。(オークションの)準備は大変でしたが、何とか実現できました。これがベルガモ市への実質的な支援となることを願っています。北京オリンピックで使用したゴーグルを手放したことはこの先も思いが残るでしょう。出品するアイテムをバッグに詰めている時、少し手が震えてしまった。けれど、良い事をするためですから」と語っている。トップアスリートのイニシアチブが、さらに支援の輪を広げてくれるはずだ。
今年で引退を表明していたペレグリニだが、東京オリンピック延期を受けて現役続行を決断。32歳で迎えることになる。おそらく自身最後の、そして5度目のオリンピックで是非有終の美を飾ってほしい。
THE DIGESTより