2020年1月27日(月曜日)09時27分 配信
◆競泳 北島康介杯 最終日(26日、東京・辰巳国際水泳場)
男子200メートル平泳ぎは慶大1年の佐藤翔馬(18)=東京SC=が、2分7秒58の好タイムを叩き出して優勝した。世界水泳銅メダリストで日本記録保持者の横綱・渡辺一平(22)=トヨタ自動車=相手に堂々の“寄り切り”。五輪2大会連続2冠の北島康介と同じ名門・東京SCで腕を磨いてきた慶応ボーイが、東京五輪代表入りに名乗りを上げた。
新星が横綱を食った。ラスト50メートル。佐藤は追いすがる渡辺から必死に逃げた。目いっぱい伸ばした指先で刻んだのは、2分7秒58の自己ベスト。昨年のインカレで出した2分9秒21から1秒63も短縮した。「2分8秒台が目標だった。一気に7秒台に入って、実感が湧かない」。頬は紅潮。興奮でどんどん早口になった。
昨年の世界ジュニア選手権(ブダペスト)で銀メダルを獲得し、将来を嘱望されていた。平泳ぎの王者・北島康介を送り出した東京SCに通い、端正なフォームは本家を思わせる。その北島大会委員長が見守る前での大ブレイク。レース後には「4月まで気を抜かず頑張れ」と声をかけられ、武者震いした。
東京・港区の出身。幼稚舎から通う生粋の慶応ボーイだ。父は医師で学生時代はヨット部。趣味のヨットに乗る際に溺れさせてはいけない、というのが水泳を始めた理由だったという。0歳からベビースイミングで水に親しみ、小3から東京SCで鍛えられてきた。憧れは、もちろん北島大先輩。昔の五輪の映像を見て「一人だけ貫禄が違う。堂々たる姿だった」と、心を動かされてきた。
高1から指導する西条健二コーチは「すごいバネのある選手」と素材を認める。東京SCで北島を指導した日本代表の平井伯昌ヘッドコーチも「水しぶきにガッツを感じる。見ていてワクワクする。集中したときの力の絞り出し方が北島と似ている」と、教え子にダブらせるほどだ。
この時期に早くも五輪派遣標準記録(2分8秒28)を突破。激戦区の200平は渡辺、今大会は不在の小関、世界水泳代表の小日向の三つどもえで2枠を争うとみられていたが、がぜん激化の様相を呈してきた。「代表入りが目標だけど、一平選手に勝って決めたい。2分7秒と言わず、2分6秒台前半を出すつもりでいきたい」。速射砲のように、威勢のいい言葉を吐き出した。(太田 倫)
◆佐藤 翔馬(さとう・しょうま)2001年2月8日、東京・港区生まれ。18歳。慶応高から慶大商学部に進む。0歳からベビースイミングを始め、小3から東京SCに所属。野球、サッカーなどの経験もある。憧れの選手は北島康介、A・ピーティ、M・フェルプスら。趣味はラーメン店巡り。175センチ、71キロ。家族は両親。
◆競泳の東京五輪への道 4月の日本選手権が選考の一発勝負となる。日本水連の定める派遣標準記録を突破した上での2位以内が条件。200平の派遣標準は2分8秒28。昨年の世界水泳でも金メダリストが出なかったため、枠は2つ空いている。
スポーツ報知より