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五輪競泳メダリスト、溺れた新婚男性救う イタリアのビーチで

2019年7月10日(水曜日)08時59分 配信

2004年アテネオリンピック男子競泳のイタリア人銅メダリストで、元世界王者のフィリッポ・マニーニさん(37)が7日、地中海に浮かぶイタリア・サルデーニャ島南部カーラ・シンツィアス・ビーチで溺れた、新婚男性のアンドレア・ベネデットさん(45)を救助した。
ベネデットさんが溺れているのに気づいた友人が叫んで助けを求めたところ、居合わせたマニーニさんが海に飛び込んだ。
ライフガードの救命ボートが到着するまでの間、マニーニさんはベネデットさんの頭が海中に沈まないよう支え続けた。
「私はただ、自分がすべきことをしただけだ」とマニーニさんは振り返った。
助かったベネデットさんは2日前に、同島カリアリでボーイフレンドと結婚したばかりだった。

■冷たい海で、手足動かせず
ベネデットさんとパートナーの友人で、BBCのペルシャ語ニュースのスルシュ・パザド記者が、一部始終を目撃していた。
カップルがユニコーンの形をした浮き輪に乗っていた際に、ベネデットさんは海へ落ちた。想像以上に海水は冷たく、健康状態に問題を抱えていたベネデットさんは手足を動かせなかったという。
さらに、パザド記者によると、強風で浮き輪が流されてしまい、ベネデットさんの夫が1人で、ベネデットさんの頭が沈まないよう格闘していたという。
助けを求める声に気づいたライフガードは、急いで救命ボートを準備した。
その時、ベネデットさんのより近くにいたのが、身長1メートル88センチのマニーニさんだった。
イタリアのスポーツ紙「コッリエレ・デッロ・スポルト(Corriere dello Sport)」によると、マニーニさんは、「ベネデットさんはかなりおびえた様子で、身動きがとれずにいた。海水も多少飲み込んでしまっていた」と述べた。
「私がベネデットさんのところまでたどり着いた際には、彼は話すことすらできない状況だった。救命ボートの上に引き揚げるのは簡単ではなかった。そこで、近くにいた別の海水浴客が持っていた浮き輪の上にベネデットさんを乗せた」

■夫のことが頭をよぎった
ベネデットさんは救助後、間もなく病院へと搬送された。
「意識を取り戻した時に最初に頭をよぎったのは、夫のことだった」とベネデットさんは話す。
「私は、事故から数時間後に病院で、自分の命を救ってくれた男性がフィリッポ・マニーニさんだったことに気がついた。しかし、彼の連絡先を知らなかったので、お礼を伝える機会がなかった。直接お礼を言えることを願っている」
当時マニーニさんは、恋人で、イタリアの有名なテレビ番組パーソナリティー兼モデルのジョルジア・パルマスさんと一緒に、ビーチを訪れていた。
マニーニさんは2004年のアテネオリンピックで、競泳男子4×200メートル自由形リレーで銅メダルに輝いたほか、2005年と2007年の世界水泳選手権の100メートル自由形で金メダルを獲得している。2007年大会では、カナダのブレント・ハイデン選手と同着だった。

■溺れているかどうかの見極め方
専門家によると、実際に溺れると、人は助けを求めて叫んだり、水をバチャバチャしたりせず、ほとんど溺れていることを示さない。これを「本能的溺水反応」という。
マリオ・ヴィトン氏とフランチェスコ・ピア博士は、米沿岸警備隊向けのジャーナルの中で、以下の通り記述している。

・特殊な状況を除き、溺れている人は生理学的に助けを求めることはできない。呼吸器系は息をするためのつくりになっており、話すことは二の次である
・溺れている人の口は浮き沈みを繰り返す。口が水面から出ている時間は、助けを求めて声を出すには短かすぎる。身体が沈み始めると、息を吸って吐くスピードが速まる
・助けを求めて手を振ることはできない。本能的に両腕を横に広げ、水面を押し上げようとする
・脚で水をかかずに、身体を直立で保とうとする
・水面に浮いていられるのは20秒から60秒程度で、その後は沈んでいく

BBCより

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