2019年4月8日(月曜日)09時33分 配信
「競泳・日本選手権」(7日、東京辰巳国際水泳場)
7月の世界選手権(韓国・光州)代表選考会を兼ねて行われ、男子200メートル平泳ぎ決勝は世界記録保持者の渡辺一平(22)=トヨタ自動車=が自身の記録更新まで0秒35に迫る2分7秒02で日本選手権初優勝を飾り、2位の小日向一輝(24)=セントラルスポーツ=とともに代表入りした。男子200メートル背泳ぎ決勝を1分55秒79で制した入江陵介(29)、同2位の砂間敬太(23)も代表内定。男子50メートル自由形準決勝では塩浦慎理(27)=いずれもイトマン東進=が21秒67で日本新記録を0秒20更新した。
地鳴りのような歓声は150メートルをターンする渡辺の耳にも届いていた。電光掲示板に表示された数字は、自身の世界記録より0秒59速い1分33秒43。「ここ頑張れ」と言い聞かせながら腕をかき、水を蹴った。しかし体力は限界。終盤の失速で世界新は一歩届かず「バテてしまった。悔しい」と唇をかんだ。
「自己ベスト」を宣言し臨んだ今大会。「めちゃくちゃ懸けていた」と渡辺は言う。萩野公介、池江璃花子と男女エースが不在の中「引っ張っていく気持ち」も強かった。世界記録保持者ながら日本選手権の優勝は0と、勝負所で勝てない葛藤も抱えていた。あえて自身に重圧をかけた。レース前は昼寝ができないほど緊張した。
記録こそ届かなかったが「150メートルは1分33秒5でターンを目標にしていた。そこは達成できた」と収穫は大。悔しさも残るが、ラスト50メートルは今後の伸びしろだ。「今日できる最高のパフォーマンスはできた」と胸を張れるレースでもあった。
3月に早大を卒業し今春から社会人。所属するトヨタ自動車の社員50人が会場で声援をくれた。真っ赤なジャージーで頂点に立ち、「これからにつなげたい」と渡辺。世界選手権では世界記録更新と金メダルの二兎(と)を追う。その足がかりとなったことは間違いない。
デイリーより