2019年4月5日(金曜日)09時08分 配信
◆第95回競泳日本選手権 第3日(4日、東京・辰巳国際水泳場)
混戦の女子100メートル平泳ぎは伏兵の関口美咲(22)=木下グループ=が1分7秒70で初制覇した。2連覇中の青木玲緒樹(ミズノ)、五輪メダリストの鈴木聡美(ミキハウス)といった実力者を押さえ、表彰台の真ん中に立った。
はじめはインタビューに気丈に答えていた関口の顔が、徐々に崩れていった。「本当にこの2年間つらいことが多くて…」。混戦を抜け出したのは、社会人1年目の苦労人。様々な思いがあふれ、金メダルに感極まった。
日体大出身。昨年は女子主将も務めた。しかし、2年の冬には左肩、昨年は右肩を痛め、まともに泳げない時間を過ごしてきた。「本当に痛いときは腕が上がらなくて、髪を洗うときもすごくかがんでやったり。片手で泳いだり、足だけを使ったり」。普通に練習ができるようになったのはごく最近のことという。「最後の15メートルは、今までの合宿の成果をぶつけようと思った」と、入魂のラストスパートだった。
苦しい時期、家族やチームメートからの励ましがあった。この日、スタンドでは、母親が見守っていた。「本当は辞めようかなと考えたこともあったけど、多くの人に支えられ、泳げる環境があって、今ここに立てたことが本当に幸せです」。厳冬を耐え抜き、桜の季節に美しく咲いた。