2019年2月20日(水曜日)09時12分 配信
16年リオ五輪競泳男子400メートル個人メドレー金メダリストの萩野公介(24)=ブリヂストン=が19日からのスペイン高地合宿参加を急きょ取りやめたことを受け、指導する日本代表の平井伯昌ヘッドコーチ(HC、55)が成田空港からの出発前に「本人も思い悩み、迷っている」と代弁した。4月に日本選手権を控える中で約1か月も離れて練習するのは極めて異例。不振脱却には精神的な自立がカギと説明した。
萩野は合宿参加について18日に平井HCと2回、電話で話し合った。一度は参加を申し出たが、平井HCが念押しすると国内調整を選択した。師匠が説明した。
「1回整理して、ペースを落とすことも必要なんじゃないかと話をした。頑張りたい自分と、ゆっくりしたい自分がいる、と。本人の中で思い悩み、迷っているところがあったので背中を押したような形」
16日のコナミオープン(千葉)男子400メートル個人メドレー予選で、4分23秒66と自らの日本記録から17秒61も遅れ、決勝を棄権した。検査の結果、体に異常はなかった。この年末年始は体調も崩さず、リオ五輪後で初めてといっていいくらい、質量ともに順調な調整が積めた。12日にグアム合宿から帰国した際「面白い試合になる」と自信を見せていただけに、衝撃は大きかったようだ。
4月の日本選手権は7月の世界選手権(韓国・光州)の代表選考会を兼ね、世界選手権で金メダルを取れば20年東京五輪の代表に内定する。重要な時期に師弟が離れるのは極めてまれだが、平井HCは「気負わないでやってほしい」と伝えた。その裏には、精神的な自立を促す狙いもある。
「学生の間はコーチが導いてあげる必要がある。今は水泳が職業。本人が考える目標、目的のためにサポートするのが望ましい。五輪にどう向かい、何のために泳ぐのか、考えるチャンス。自力で頑張ってもらって、僕らがサポートできるようになれば一番いい」
師匠不在の間、萩野は拠点の東洋大で学生たちと練習する。日本選手権には予定通り400個メにもエントリーする方針だ。
「小さい頃から張り詰めてやっているから、休養も必要なのかな。本来の力なら、代表に入ることはたやすいと思う」
天才スイマーは親心に応えることができるか。(太田 倫)
スポーツ報知より