2018年8月10日(金曜日)08時48分 配信
◆競泳 パンパシフィック選手権第1日(9日、東京・辰巳国際水泳場)
女子400メートル個人メドレーは、大橋悠依(22)=イトマン東進=が途中でゴーグルに水が入るアクシデントにも負けず、4分33秒77で国際大会初の金メダルを獲得した。清水咲子(26)=ミキハウス=が4分36秒27で3位に入りダブル表彰台。
水をかく大橋の動きは明らかにおかしかった。最後の50メートル。ふらつきながら、左サイドのロープにぶつかりそうになった。ゴーグルに水が入り、見えなくなっていた。「あんまりレースに集中できなかった」と、恥ずかしそうに打ち明けた。視界不良のアクシデントを乗り越え手にした、国際大会初の金メダルだった。
最初のバタフライで体一つ先行し、苦手の平泳ぎでリードを広げた。昨年の世界選手権では4位に終わり、悔し涙を流した400メートル個人メドレー。日本記録の自己ベストより3秒近く遅いタイムには納得いかないが、狙ったレースで勝ち切れたことが収穫だ。入場し観客席を見上げ、心が震えた。「すごい歓声で鳥肌が立って、いいレースをしようと思った」。2年後の東京五輪を思い描きながら泳いだ。
遅咲きの大橋にとって、パンパシ、アジア大会はともに未経験。「私はどちらも初めてなので、勝ち癖をつけるのにはいい大会。どちらも集中して挑みたい」と、仮想五輪を自らに課していた。6月から7月にかけてスペインで高地合宿を行った。その最終日、平井伯昌監督(55)から、「2020年の五輪で世界新を狙うなら、こういうラップで泳ぎたいよね」と、金メダルへの具体的な目標値を設定された。
〈1〉バタフライを1分00秒台〈2〉背泳ぎを1分6秒で回って、2分7秒台〈3〉平泳ぎを1分16秒で3分23秒台〈4〉自由形を1分1秒台で、4分25秒台でゴールの金ラップ。「着々と(目標に)近づいているのは感じていて、具体的な狙いがあるのは分かりやすい。あと2年でどうにか実現させたい」。世界記録での金メダルを見据えている。
昨年の世界選手権銀メダルの200メートル個人メドレーは11日に控える。「ここが始まりとなって、2年後につながっていけば」。2冠に輝き、20年への視界を広げていく。(高木 恵)
◆大橋 悠依(おおはし・ゆい)1995年10月18日、滋賀・彦根市出身。22歳。幼い頃は気管支ぜんそく、食物アレルギー、アトピーの症状があり、健康のために6歳で競技を始める。草津東高から東洋大に進み、4月からイトマン東進に所属。2016年アジア選手権200メートル個人メドレー1位。17年世界選手権200メートル個人メドレー銀メダル。173センチ。家族は両親と姉2人。
◆パンパシフィック選手権 日本、オーストラリア、カナダ、米国の4か国が、環太平洋地域の水泳レベル向上のために1985年から大会をスタート。以降、五輪・世界選手権がない年に4か国の持ち回りで開催している。現在では世界3大大会の一つに数えられ、今回が13回目。日本を含む19か国の選手が参加する。日本開催は2002年の横浜大会以来。今大会から、個人の順位などでポイントが加算される国別対抗戦の要素も盛り込まれる。
スポーツ報知より