2018年4月9日(月曜日)12時27分 配信
◆競泳 日本選手権 最終日(8日・東京辰巳国際水泳場)
驚異の女子高生・池江璃花子(17)=ルネサンス亀戸=がダブル日本新で大会を締めた。女子100メートル自由形決勝で53秒03をマークすると、最後の50メートルバタフライ決勝でも25秒43で、いずれも自身の記録を塗り替えて日本新を樹立。今大会の出場全4種目、合計6回の日本記録更新ラッシュで主役となった。女子400メートル個人メドレーは大橋悠依(22)=イトマン東進=が4分30秒82の日本新で2連覇を達成。昨年に続き、200メートルとの2冠に輝いた。
両手で顔を覆った。プールサイドで池江の涙腺が緩んだ。100メートル自由形決勝はまさに独壇場。7日の準決勝でマークした日本新をさらに0秒43も更新し、53秒03でV2を達成した。「記録が出るか分からず不安だった。予想以上のタイム。うれし泣きです」。50メートルのターンで日本記録ペースから0秒24遅れたが、爆発的にスパート。最後はタッチが合わずロスしたが、52秒台も一瞬見えた。
70分後には、50メートルバタフライを息継ぎなしで泳ぎ、自身の記録を0秒01更新する25秒43でフィニッシュ。今大会は100バタ、50自と合わせ、出場全4種目で日本新V。記録更新の回数は計6度にもなった。「すごくあっという間で、充実した楽しい大会」。疲労は達成感でかき消された。
技術以上にパワーと爆発力が要求される自由形。世界の壁は日本人には分厚い。女子の100自で五輪決勝に残ったのは00年シドニー五輪7位の源純夏が最後だ。だが、この日の池江のタイムは今季世界3位。リオ五輪では4位相当で、昨年の世界選手権(ブダペスト)でも7位にあたる。
「自由形は世界大会では自己ベストを出せなかったり、決勝に進めない状況が続いている。世界大会で記録を出すことを意識したい」。16年1月に53秒99で初めて日本記録を更新してから、わずか2年で1秒近くも短縮した。
その世界選手権では、得意の100バタで6位に終わるなど、力を出し切れなかった。観戦に訪れた家族に「ごめん」と涙した。悔しさが記録ラッシュの原動力だ。
公称172センチ、57キロは一見すると細身だが、リオ五輪時から身長は4センチ、体重も2キロアップ。肩や背の筋肉が発達し、日本製の洋服ではサイズが合わない。米国など海外ブランドのものを着るが、それでもユニセックスのLサイズがジャストだという。規格外の成績は、そこから生まれる。
親友のフィギュアスケート・樋口新葉も駆けつけた前で、進化した姿を見せた。「いつもより応援が多くて、ここで記録を出せたらかっこいいと思っていた。気持ち、体力面も強くなった大会」。驚異のJKスイマーが、世界最前線の戦いに割って入ろうとしている。(太田 倫)
スポーツ報知より