2015年7月4日(土曜日)09時34分 配信
競泳男子の萩野公介(20)=東洋大=が3日、東京都内で記者会見し、右肘骨折で全治2カ月と診断されたため、4種目に出場を予定していた8月2日からの世界選手権(ロシア・カザニ)出場を辞退すると発表した。合宿先のフランスで、自転車で移動中に転倒して負傷。2日に帰国していた。金メダル獲得が期待されるエースが、思わぬ事態に見舞われた。
ギプスで固定された右肘が痛々しく、落ち込んだ表情からは悔しさが伝わった。萩野がうつむき加減で明かした。
「調子が上がっていただけに残念。注意していれば、こうはならなかった。申し訳ない。特に800メートルリレーのみんなには迷惑をかけました」
6月28日午後、宿舎から自転車で練習場へ向かう途中、渋滞中の車道を避けて歩道に乗り上げようとしてスリップし、転倒。右手のひらをついた衝撃で肘を痛めた。
現地の病院で骨折と診断され、腫れが引くのを待って2日に帰国した。精密検査した金岡恒治チームドクターによると右肘関節親指側「橈骨(とうこつ)」のひび。手術は不要だが、泳げるようになるまで6~8週間かかるという。
宿舎からプールまでは自転車で約15分の距離。選手のほかコーチ、トレーナーを含む全員が自転車で移動していた。上野広治総監督は「自転車を使わせた、私どもの判断が甘かった」とした。
世界選手権で金メダルなら、来年のリオデジャネイロ五輪代表入りが内定した。だがこれで萩野のリオへの道は、選考会となる来年4月の日本選手権(東京・辰巳)の“一発勝負”になる。
2011年世界選手権の選考会を体調不良で断念しながら、翌年のロンドン五輪男子400メートル個混継で銅メダルを獲得した萩野。「今できることは、リオ五輪で金メダルを絶対に取るという強い気持ちを持って、早く治すこと」と、懸命に前を向いた。
サンケイスポーツより