2013年4月15日(月曜日)10時30分 配信
◇競泳日本選手権最終日(2013年4月14日 新潟県長岡市・ダイエープロビスフェニックスプール)
世界舞台で8種目に挑戦だ。世界選手権(7~8月、バルセロナ)の代表選考を兼ねて行われ、男子200メートル背泳ぎで萩野公介(18=東洋大)が1分56秒11で2位に敗れたものの、派遣標準記録を突破。出場した6種目に加え、400メートルメドレーリレー(背泳ぎ)、800メートルリレーの2つのリレー種目の日本代表選出が濃厚となった。優勝はロンドン五輪銀メダルの入江陵介(23=イトマン東進)で1分55秒50で7連覇を達成。200メートル平泳ぎでは世界記録を持つ山口観弘(18=志布志DC)が2分9秒31で初優勝し、初の世界切符を手にした。
入江との息詰まる展開に最後は力尽きた。予選も含めて大会12レース目。萩野は「最後の25メートルガクッときた。12レース目、最後の最後で来ました」と悔しがったが、「限られた人間にしかできない経験。忙しい中にも充実感があった」とすがすがしい表情を見せた。
先行を許しながら100メートルのターンから大きなストロークで猛追。150メートルのターンのバサロキックで水面に浮き上がると、頭2つ分ほどリードを奪った。だが、残り25メートルで6冠の夢は破れた。「本当の怪物は最後まで活躍を続けられる」とフェルプスやロクテを挙げて成長途上を認めた。
だが、底知れぬ能力を見せつけたことに変わりはない。全種目でロンドン五輪6位以内に相当する記録を出し、世界でも複数種目でメダルを狙える力を示した。上野広治競泳委員長は「萩野は期待値が一番高い。リレーを含めて8種目に出る可能性もある。世界選手権では準決勝もあるが、挑戦してもらいたい」と日本人としては例のない8種目出場の可能性を示唆。平井監督(日本代表ヘッドコーチ)も「チャレンジさせたい。最後へばるかもしれないが、チャレンジすることが大切。フェルプスやロクテを本気で目指してますから」と期待を込めた。萩野も「出られれば光栄。代表に決まったら役割を果たしたい」と目を輝かせた。
レース後に入江から「萩野はAKB48好きで、これからはセンターに立ってくれる」とエールを送られると、「憧れのセンター(入江)を倒せる存在になりたい」と返した。全力で駆け抜けた4日間。「400メートル個人メドレーと200メートル背泳ぎは最後の粘りが足りなかったので、持久力を上げたい。もっと強くなりたい」。怪物は勝てなかったからこそ、さらなる高みを見据えることができた。
スポニチアネックスより