2013年4月10日(水曜日)19時05分 配信
水泳の日本選手権(4月11日~14日)を翌日に控えた10日、新潟県のダイエープロビスフェニックスプールで公開練習が行われ、50、100メートル平泳ぎの2種目に出場する北島康介(アクエリアス)は「まずは決勝に残って、ベストを尽くし、少しでもいい記録を残して自信をつけたい」と意気込みを語った。
かつての強気な発言は影を潜めていた。ロンドン五輪からの再起戦となる北島にとって今大会は世界選手権(7月19日~8月4日/スペイン・バルセロナ)の出場権を懸けた選考会という位置付けではないのだろう。「1カ月前は本当に調子が悪くて、日本選手権でも決勝に残れない可能性もあった。今は人並みぐらいかな。なんとかファイナリスト並に戻ってきたけど」と、好調さをアピールする選手が多い中、自虐的とさえ取れる発言に終始していた。100メートル平泳ぎでは、昨年9月に200メートル平泳ぎで世界新記録を樹立した山口観弘(志布志DC)の挑戦を受けるが、「迎え撃てません。自分なりに頑張るだけです」と報道陣を煙に巻いた。
そんな北島も若手の躍進には目を細める。前述の山口と、ロンドン五輪400メートル個人メドレーで銅メダルを獲得し、今大会は個人メドレー、背泳ぎ、自由形など6種目にエントリーしている萩野公介(東洋大)は共に、北島も指導を受ける平井伯昌氏の一門。「若い選手にパワーをもらっています。今は僕が毎日尻をたたかれている」と笑った。特に萩野については「誰が見ても潜在能力は高い。水泳を楽しんでいるし、今までの日本にはいなかった選手だし、彼なら大きなことをやってくれる。国内で6種目というよりも、世界で同じように戦う姿を見たい」と期待を寄せた。
しかし、勝負にこだわらない姿勢とはいえ、若手の台頭をただ手をこまねいて見ているだけではない。「自分がどれくらいのレベルで泳げるかは分からないけど、そういう不安も楽しみたい。強い気持ちで臨む」と最後は静かに闘志を燃やした。ここぞという場面で抜群の勝負強さを発揮してきた北島。久々の国内戦でどこまでやれるかに注目したい。
スポーツナビより