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延びる選手寿命 医科学サポート、企業の支援増加 競泳

2013年4月10日(水曜日)09時03分 配信

かつては10代が中心だった競泳の選手寿命がぐんと延びている。昨年のロンドン五輪でメダルを獲得した日本代表11人(リレー種目を含む)は全員が現役続行を表明。2月の日本短水路選手権では、今年29歳になる女子背泳ぎの寺川綾が50メートルで日本記録を更新し、ベテランといえども成長途上であることを証明した。一方で若手の台頭もあり、日本競泳界の選手層は厚みを増している。(青山綾里)

 競泳は「早熟型」の競技と捉えられていた。実際、1980年代に活躍した女子平泳ぎの長崎宏子さんは小学6年生で80年モスクワ五輪(日本不参加)代表に選ばれ、92年バルセロナ五輪女子200メートル平泳ぎで金メダルに輝いた岩崎恭子さんは当時14歳。年齢層も96年アトランタ五輪代表は、27人中25歳以上は2人だけで、13人が10代という布陣だった。

 だが、徐々に20代の代表が増えていき、2008年北京五輪では25歳以上が7人に。昨年のロンドン五輪ではついに代表27人中、10代は7人で、8人が25歳以上と逆転した。日本水連の佐野和夫会長は「競技環境が競技寿命をかえた」と指摘する。01年に医科学部門の専門スタッフらが常駐する国立スポーツ科学センター(JISS)が設立され、医科学面でのサポートが充実したことが要因の一つ。水中抵抗を減らすフォームへの改良や泳法の工夫、年齢・能力に応じたトレーニング法などが実践されるようになり、JISSの川原貴統括研究部長は「引退の要因となっていた故障を防げるようになった」と話す。

 さらに、男子平泳ぎの北島康介らの活躍も追い風になった。競泳への注目度が高まり、大学卒業後も企業の支援を受けて現役を続けられる選手が増えた。今春「ミキハウス」には、ロンドンで3個のメダルを獲得した女子平泳ぎの鈴木聡美、男子200メートル平泳ぎ銅メダルの立石諒、女子100メートル背泳ぎ短水路世界記録保持者の酒井志穂ら4人が新たに入社した。

 一方で、若手の台頭も著しい。男子200メートル平泳ぎで世界記録を持つ山口観弘は18歳。ロンドン五輪男子400メートル個人メドレー銅の萩野も18歳だ。日本代表の平井伯昌ヘッドコーチは「北京五輪からロンドンまでの4年より層が厚くなり、次の4年間が楽しみ」と手応えを口にする。環境がよくなり、競技としての魅力が向上、そして選手層が充実する-という好循環にある日本競泳界。16年リオデジャネイロ五輪では、ロンドン以上の活躍が期待される。

産経新聞より

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