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<競泳>18歳の山口、泳ぎも舌も大器

2012年9月21日(金曜日)09時24分 配信

泳界に「超新星」が現れた。15日に岐阜市であった「ぎふ清流国体」競泳少年男子A200メートル平泳ぎで2分7秒01の世界新記録を樹立した鹿児島・志布志(しぶし)高3年の山口観弘(あきひろ)選手(18)。どうしていきなり「世界最速の男」に躍り出ることができたのか。【芳賀竜也】

【写真特集】岐阜国体での山口選手の泳ぎを写真で

 山口選手は、国内競泳界では若手のホープとして知られていたが、世界では無名。今回たたき出したタイムで、本人が「憧れの人」と話す北島康介選手(29)=日本コカ・コーラ=が11年間保持していた日本記録どころか、ロンドン五輪同種目優勝タイムである世界記録(2分7秒28)も塗り替える「2階級特進」を果たした。

 来春には、ロンドン五輪で日本代表ヘッドコーチ、平井伯昌(のりまさ)氏(49)が新たに指揮を執る東洋大に進学するが、現在の所属は「志布志ドルフィンズスイミングクラブ」という鹿児島県の小さなクラブ。自前のプールはなく、市営の志布志運動公園屋内温水プール(25メートル)の3コースを借りて1日2時間練習する。コーチ陣は全員、父母らのボランティア。5歳から山口選手を教え、愛弟子の偉業に「小学生の時から『この子は将来、日本の宝になる』と周囲に話していた」と目を細める大脇雄三コーチ(61)も、本業は獣医師だ。

 「十分な練習環境がない中でも『速くなりたい』というハングリー精神が、観弘を支えてきたのではないか」と平井コーチ。

 ジュニア時代からもトップ層にいたが、同年代ではロンドン五輪の男子400メートル個人メドレーで銅メダルを取った萩野公介選手(18)=御幸ケ原SS=らからは少し離された位置にいた。競泳の上位層は、突破タイムによって国際大会出場を目指す「インターナショナル選手」と、国内大会中心の「ナショナル選手」に分かれているが、山口選手は昨年9月の山口国体でようやく「インター」に。ここから、超新星の快進撃が始まった。

 インターナショナル合宿を機に、北島選手を育てた平井コーチの指導を受けるようになり、才能が開花した。平井コーチは「泳ぎが小さかったので、大きく泳げるようにした。体が大きいわけではなく筋力もまだないが、水中での筋肉の使い方がうまい」と分析。「康介が(両手両足をうまく使う)四輪駆動の自動車なら、観弘は(なめらかに加速する)リニアモーターカーのようだ。アクセルはあるが、ブレーキがない感じすらする」と評する。

 物おじしない性格も魅力的だ。小学校低学年の時、自室に張った北島選手のポスターに「おまえをぬかす」とフェルトペンで書き込んだ。母美智子さん(45)は「いつもすごく大きなことを言っていたので、どこかでクギを刺さないといけないと思っていたのに、その通りのことをやってしまって……」と、喜びと戸惑いの入り交じった表情を浮かべる。平井コーチに指導を受ける女子の寺川綾選手(27)=ミズノ=も「会って間もない時から、『(宿舎まで)送ってくださいよ、ご飯連れて行ってくださいよ』と遠慮なく言ってきた」と苦笑する。

 実力、個性ともに抜きんでているものの、次のリオデジャネイロ五輪までは、まだ4年もある。「世界記録といっても、僕にとっては自己ベスト。その自己ベストを更新できるように頑張りたい」と浮かれることなく語る山口選手。まずは、来年の世界選手権(バルセロナ)での金メダルを狙っているに違いない。

毎日新聞より

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