2012年8月31日(金曜日)09時14分 配信
涙ぐむしかなかった。競泳女子100メートルバタフライの野村が、予選1組でまさかの6着。自己ベストを大幅に下回り、無念の敗退となった。「こんなはずじゃなかった。これが4年に1度の大舞台なんだな…」
競技を本格的に始めてわずか1年余りで出場した北京大会は、100メートル平泳ぎでメダルに近づく4位。バタフライは8位だった。ロンドン大会は平泳ぎで勝負するつもりだったが、練習量を増やして膝を故障。膝に負担をかけない泳ぎを試すうちにバタフライの記録が伸び、今回は同種目でメダルを狙っていた。
「真波、頑張れ! 」。スタート前、大きな声援が会場に響き、自分の耳にも届いた。前半を4番目で折り返す。しかし、後半に失速。みるみる差が開いてしまった。
20歳で交通事故に遭い、右腕を切断。それを機に、周囲に感謝する気持ちが強くなった。神戸市で看護師として働き、勤務後に練習。だが、何としても期待に応えたいとの思いから体に負荷をかけ過ぎて、今大会前に股関節を痛めた。調整が十分にできず、思うような記録が出なかった。
それでも、まだ平泳ぎが残っている。「北京以降は周りの応援が熱く、本当に助けられた。これでは笑顔で帰れない」。万全の状態には遠いが、最後まで全力を尽くす。(時事)