2012年8月1日(水曜日)15時04分 配信
2012ロンドンオリンピック(五輪)が「誤審」で汚されている。オリンピック精神が傷ついている。犠牲者は韓国選手だ。
31日未明(日本時間)に行われたフェンシング女子エペ個人の準決勝で、シン・アラム(26、鶏竜市庁)はあきれるような判定に泣いた。シン・アラムはハイデマン(ドイツ)と5-5の状況で、延長戦終了1秒前に攻撃を許した。しかし、この1秒がおかしかった。ハイデマンが4度も攻撃したが、時計はずっと止まっていた。シン・アラムは延長戦でアドバンテージを確保していたため、1秒だけ持ちこたえれば決勝に進出できた。シン・アラムは1時間もピスト(フェンシング競技台)で涙を流し、韓国のコーチは強く抗議したが、判定は変わらなかった。シン・アラムは3位決定戦で中国選手に敗れ、メダルを獲得できなかった。
ロンドン五輪で韓国選手が判定に泣いたのはすでに3度目だ。先月29日の男子柔道66キロ級で、チョ・ジュンホ(24、韓国馬事会)は審判委員長が判定を覆したことで勝利を奪われた。先月28日の水泳男子自由形400メートルでは、朴泰桓(パク・テファン、23、SKテレコム)が失格処分となり、その後、失格は取り消されたものの、コンディション調整に失敗して金メダルを逃した。今回の五輪で問題になった4件の判定のうち3件が韓国関連だ。
なぜ韓国だけが犠牲になるのか。特定種目を掌握した国の力が考えられる。フェンシングは欧州、水泳は米国・カナダなど西欧先進国の勢力が強い。韓国はフェンシングでドイツの選手に勝利を譲った。朴泰桓の失格を宣言した審判は米国人(ポール・メモント)だった。自国が掌握する伝統種目を蚕食する新興強国に対し、牽制心理が作用したということだ。
アジア3大スポーツ強国のうち中国は誰も手を出せない地位を確立していて、日本も国際スポーツ舞台で強い影響力を発揮している。日本は31日、男子体操団体戦の決勝で強く抗議して点数を0.7点高め、4位から2位に上がった。スポーツ外交力が落ちる韓国だけが誤審の犠牲になっている状況だ。
アン・ヨンギュ韓国体育大教授(体育哲学)は「最近相次いだ誤審はスポーツ強国を自負する欧州国家の横暴だ。これ以上の犠牲を出さないためにはスポーツ外交力や情報力など総体的なスポーツ国力を高める必要がある」と述べた。
朴容晟(パク・ヨンソン)大韓体育会長(72)は31日、女子エペで計測ミスによる誤審が発生した後、「悪法も法だ。ルールがそうなら受け入れるしかない」と述べた。しかし冷静で落ち着いた対応に劣らず、強力かつ実質的な再発防止対策が必要だという声が力を増している。
痛恨の先例がある。04年アテネ五輪で男子体操個人総合に出場したヤン・テヨン(32)は、採点ミスに抗議するタイミングを逃し、メダルの色が金から銅に変わった。その後、「奪われた金メダル」を繰り返さないよう努力をしてきた。大韓体育会はロンドン五輪を控え、傘下団体別に誤審対応マニュアルを準備することにした。しかし3件の誤審のうち2件は判定が変わらなかった。特に柔道では08年北京五輪後に判定が覆らないよう規定が変わったが、現場関係者はこれを把握していなかった。