2012年4月26日(木曜日)15時11分 配信
以下の記事が出ていました。
すごく北島選手の内容がよく分かりました。
競泳は、いくら実力あってもオリンピック選考会で負けたり、制限タイムを切れなかったら、五輪代表選手にはなれない。
今まで、実力はあるけど選考会だけ駄目でオリンピック選手になれない選手はたくさんいた。
その中で、北島選手は4度目の出場は、素晴らしい。
他人には言えない、努力のたまものでしょう。
是非、ロンドンでは納得するレースを期待したい。
Number Webより
number.bunshun.jp/articles/-/220132
4大会連続五輪出場の北島康介。“4年間で0.01秒縮める”という凄み。
開幕まで3カ月ほどとなったロンドン五輪に向けて、各競技で代表選考が本格化している。
若い選手の台頭も注目されるところだが、一方でロンドン五輪は長年活躍してきた第一人者たちの活躍が楽しみな大会でもある。
例えば、2000年のシドニー五輪から4大会連続出場となるハンマー投げの室伏広治、’04年のアテネ、’08年の北京に続く3連覇を目指すレスリングの吉田沙保里と伊調馨……。
競泳には、アテネと北京で平泳ぎ100、200m連続2冠の北島康介がいる。代表選考会となった4月初旬の日本選手権で、ロンドン五輪代表となった。初出場のシドニーから4大会連続の五輪出場となるが、これは競泳では史上最多である。
その日本選手権で見せた姿は、あらためて北島の凄みを感じさせるものだった。
■異常なストレスをはねのけ、日本新記録で代表の座を射止めた北島。
競泳の代表選考は、実績も何も考慮せず、選考会の成績のみで行なわれる。選手にかかる重圧は計り知れない。
にもかかわらず、北島はそれを感じさせない泳ぎをみせつけたのだ。
最初の種目、100m決勝。
スタートから力みを感じさせない、滑らかなストロークでリードを奪う。前半を27秒69という速いタイムで折り返しながら、後半も衰えない。そのまま1位でゴール。タイムは58秒90。北京五輪の決勝でマークした日本記録(当時の世界新記録)を0秒01更新する日本新記録だった。
「4年に一回しか自分の記録を更新していないからね」
と、北島は笑った。オリンピックの年になって記録を伸ばしたところが、北島らしいところだ。
続く200mは、準決勝で全体の2位のタイムで、決勝に進む。
準決勝でトップに立ったのは、100mで2位となって五輪代表入りを決めていた立石諒だった。
■強い若手の追い上げを上回る成長ぶりを見せるベテラン。
「強い若手もいるし、もっと厳しい戦いになる」
200mを前に北島がそう語っていたように、立石の成長は著しい。
熾烈な争いが予想された決勝で、北島が前半からリードし、最初の100mは日本記録を上回るペース。後半に強い立石もついていく。残り50m、立石が追い上げを図る。だが北島は譲らない。
そのまま北島がトップでゴール。2分8秒00。昨年、上海で行なわれた世界選手権の同種目の優勝選手を上回るタイムだった。
「いい選考会になったんじゃないかと思います。最後は必死でした。前半飛ばしていくのが僕の持ち味だし、まだできると証明できました」
大会を通じて、泳ぎ、表情、言葉の端々、そのすべてに、充実感が漂っていた。
終わってみれば、100mでの日本記録更新が示すように、オリンピックに向けてあわせてくる、北島の強さが再確認できた大会だった。
■昨夏、100mで4位に終わった北島は、ひとり、部屋で泣いた。
ただ、その強さを、北島がやすやすと手にしているわけではない。
100mの後の言葉が象徴的だ。
「これだけ頑張っても0.01秒しか縮められないことで、0.01秒の重みを感じました」
記録を短縮することの価値を、そして日本選手権へ向けてどれだけ必死に取り組んできたかを表していた。
北島は、昨年の世界選手権の100mで4位に終わったあと、部屋で泣いたという。
その悔しさをばねに、100mでも勝ちたいと取り組んできた。どうすれば速く泳げるのか、必死に考えた。試行錯誤の結果のひとつとして、「ここだけを強化するということじゃなく、全体を考えよう」という意識が生まれ、滑らかな泳ぎにつながった。
ハードなトレーニング、可能性の徹底的な追求、それらがあって北島は圧巻の泳ぎを見せたのだ。
■「あそこまでいくと、達人の域でしょう」
中学生の頃から指導してきた平井伯昌コーチは、こう評した。
「自分の感じをよく知ってきたなという感じがします。あそこまでいくと、達人の域でしょう」
そのように称えられた北島が、ロンドンに臨む。
周囲の期待は、どうしても、3大会連続の金メダル、それも両種目優勝になるが、昨年の世界選手権の100mで優勝したダーレオーエンなど強敵もいる。決して楽な勝負にはならないだろう。
そうした展望はさておき、言えることは、今なお成長を続け、世界の頂点を争い続ける北島康介という選手は、無類のアスリートにほかならないということだ。
4度目のオリンピックで、どのような泳ぎを見せるのか。ただただ、楽しみだ。
(「オリンピックへの道」松原孝臣 = 文)