2012年4月14日(土曜日)16時18分 配信
女子マラソンが不振の訳
(読売新聞・YAHOO)記事より
以下の記事をみて、水泳選手にも通じるものと思いリンクします。
2000年シドニー、04年アテネ五輪と2大会続けて金メダルを獲得し、かつては日本のお家芸と言われた女子マラソン。ところが、ここ数年はちょっぴり元気がない。
トップ選手の高齢化が進み、全体のタイムも伸び悩んでいる。中学や高校の駅伝も盛んで、女子長距離の裾野も広がったはずなのにどうしてなのか…。
そんな問題の解明に挑んだ人がいる。元トヨタ車体陸上部監督の高橋昌彦さん(47)だ。高橋さんは、「女子マラソンの低迷の原因がジュニア期の競技活動と何らかの関係があるのではないか」と考え、早大スポーツ科学研究科で学んだ一昨年、無記名のアンケート調査を実施した(論文を学会に投稿中)。
対象は、過去の五輪と世界選手権の女子マラソンのメダリスト、入賞者20人を含む全ての実業団と有力クラブチームの長距離選手424人で、383人(90・3%)からの回答を得た。大変な労作である。
その結果、五輪、世界選手権など国際大会の代表に選ばれている選手の方が、いない選手より、中学時代は「朝練習をしなかった」「オフシーズンが長い」「走る距離も少ない」「月経異常も少ない」「競技を楽しんでいた」ことなどが分かった。
「ある意味で予想通りの結果だった」と高橋さんは言う。中学、高校駅伝の強豪校は、実業団並みのハードなトレーニングをさせている可能性がある。体脂肪率が低くなり、長期間、月経のない選手もいる。そうした選手は、ホルモンのバランスが崩れて骨密度が低い状態となり、次第に疲労骨折など故障をしやすくなる。
国際大会の代表に選ばれた選手で、中学時代に月経異常があったのは3・4%。一方、代表に選ばれていない選手では、その割合が5倍以上の18・4%に跳ね上がる。実業団などに進まずに陸上競技をやめてしまった選手を加えれば、強豪校のかなり割合の選手が月経異常なのではないかと推測される。
「駅伝の強豪校のエース選手は、力はあるけど、おそらく半分以上が燃え尽きたり、故障したりして大人になるまでに陸上競技をやめてしまっているのではないか。ジュニア選手の指導者は、すべてを出し切らせてはだめ。将来を考えて、まず土台を大きくしなくては」
中学や高校の全国駅伝大会。中高生が地元の代表として実業団選手と一緒に走る都道府県対校駅伝…。女子中高生の長距離種目が、これほど注目される国もないだろう。しかし、本来、選手育成を目的としたジュニアの大会の過熱が、逆にシニア選手の弱体化を招いている可能性があるとしたら、こんな皮肉なことはない。(読売新聞運動部五輪担当デスク 小石川弘幸)
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120413-00000301-yomonline-spo