@「体脂肪計の測り方」 体脂肪計は人体の水分量によって変動します。足で測る場合ですが、横になって寝ている状態では水分が体全体に均衡した配分になります。
この状態で計測すると誤差が生じますので、起床後立位で2−3時間経った後に計測する方法がもっとも体脂肪量を反映すると言われています。 現実的には起床後2−3時間に体脂肪を計測するのが難しい場合が多いと思われます。その場合は入浴後の就寝前の計測で日々なるべく同じ条件で計測する。
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A 「BMI値」
肥満度を表す指標にBMIというものがあります。これは1999年にWHOで基準が発表されていますが、18.5から25までが正常範囲とされています。
以前は標準体重を目安にダイエットや糖尿病治療を行っていたのですが、標準体重の測定方法はいずれも身長や他の要素で問題があり、現在ではこのBMI法が広く用いられています。
BMI=体重(kg)÷身長(m)2 ただし、これはあくまで統計的に病気になりにくい範囲を表しているもので、スタイルが良い云々ではありませんのでお間違いなく。
22くらいが適正とされています。 ちなみに25を越えると高脂血症や高血圧などの生活習慣病になる確率は2倍以上になります。30を超えると肥満症として治療を要するとされています。
アメリカなどの外国人のBMIと生活習慣病の関連性と数値は日本人とは違います。日本人独自の調査によってこの正常値が決められましたので、正常値は外国のものとは違います。近年では20代前後の若い女性に低いBMIの人が多く、いわゆる痩せが多いのも特徴です。
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B「レプチン」
1994年に肥満遺伝子の研究の際、発見された物質です。お腹いっぱい食べるとレプチンが分泌されて脳の視床下部の満腹中枢を刺激して「あぁ、おなかいっぱいになったなぁ。」と人間は食べるのをやめるのです。
早食いはレプチンが分泌される間もなく食べてしまうのでつい食べ過ぎてしまうのです。これが肥満には早食いがいけない理由の一つです。もう一つの作用として、こうしてレプチンが増えるとヒスタミンという物質も連動して増加する事がわかって来ました。ヒスタミンが増えるとやはり食欲を抑制するようです。
レプチンは生殖にも関わっています。過激なダイエットで生理が止まるのも、レプチンが少なくなったためとも言われています。肥満症の人にはレプチンが多いのが通常です。
最近では、先天的にレプチンが欠乏したために起こる小児の肥満にレプチンを投与する肥満治療も行われています。ただしこれは効果がある人とない人があるようで、肥満治療の切り札とまでは行かないようです。
骨からカルシウムが抜けてすかすかになる骨粗鬆症もこのレプチンが関与している事が最近の研究でわかって来ました。レプチンが多いとこの骨粗鬆症も進行するようで、食欲以外にもいろいろな役目を担っています。 |
C「食物繊維」 よく使う言葉ですが、食物繊維とは人間が消化できない食物成分一般の総称です。
消化管運動を活発にする 腸内の食物の通過時間を短縮する 噛む回数の増加 などが良い点で、 便秘がちな若い女性にはこうしたものが好まれるのでしょう。
一日の必要量や標準量を表したものは現在も無いのですが、昭和22年には日本人の一日の摂取量は22.4gとなっています。現代の日本では約2〜3割摂取量が減っているようです。
アメリカの低脂肪食の論文でも1000kcalあたり野菜18gとなっていましたから、大体昔の日本人程度の摂取量が適正なのかもしれません。
特に若い女性のダイエットの場合の食物繊維摂取についての注意点があります。 若い女性は生理の出血で血液を失う上に、現在は昔より鉄分やカルシウムの摂取が少なくなっているのが統計上明らかです。思春期の女性には高率で貧血が認められますしカルシウムも成長期は勿論、積極的に摂らないといけません。
20歳前後の女性のダイエットが非常に盛んな風潮は将来の骨がもろくなる骨粗鬆症の患者の増加を予想させます。 食物繊維には鉄やカルシウムの吸収を阻害する作用があります。ただし野菜は体に良いと思い、繊維質ばかりでダイエットをすると貧血やカルシウム不足の結果を招く場合があります。繊維質は鉄の吸収を阻害します。
過ぎることは駄目!野菜は体に良いと思って野菜ばかり食べていると副作用もあるのです。バランスの良い食事が大事な事です。 |
D 「内臓肥満」 同じ体重でも、見た目の肥満よりも内臓にべったりついた脂肪が多い人の方が
成人病になる確率は高いようです。また何度も急激に体重の増減を経験した人、いわゆる慢性ダイエッターにはこうした傾向が多いという報告もあります。 これは、実際の体脂肪よりも低く出る傾向にある市販体脂肪計では
正確には把握でないため、CTスキャンなどで計測します。内臓に脂肪沈着が多いことは、生活習慣病発症との密接な関係があるようです。 ところで、内臓に脂肪沈着が多いことは、生活習慣病発症との密接な関係があるようです。「内臓脂肪症候群」という概念を提唱した医師グループからも最近は論文が出ていますし、今後の社会環境では問題になってくる生活習慣病の予防や治療に有用になってくると予測されています。
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E「ダイエットと運動」
一時的な激しいトレーニングによるダイエットよりもマイルドに毎日少しの運動を取り入れた方が効果的でリバウンドが少ないお話をしました。 これについて、どのくらいの運動をしたら良いのかというご質問をいただきました。
日常生活や仕事でかなり体を動かす方ではないとすると、慢性的な運動不足に陥っている可能性があります。 そんな方には、たとえ1〜2分でも良いですから腹筋運動や腕立て伏せ、簡単な体操などをおすすめします。
1回1〜2分でも、一日に10回やれば立派な運動になります。有酸素運動は脂肪を燃焼させますが、短時間の無酸素運動も減量効果があると言われて来ています。
名古屋大学総合保健体育科学センターの佐藤先生の 運動療法の表を引用してご紹介します。 糖尿病・肥満のための運動処方 種目:
ラジオ体操、散歩、ジョギング、自転車、水泳(後二者が肥満者に適している) 強度: 最大強度の50%前後 (運動中会話のできる程度)
50歳代以下 脈拍 120/分以下 60〜70歳代 脈拍 100/分以下 持続時間: 10〜30(60分)
頻度: 週に3〜5以上 注) 各自のライフスタイルに運動を組み込む 有酸素運動の定義も多少変わってきている昨今、この程度でも十分意義があると言われています。
またTCAサイクルと言う代謝過程がありますがこれが活発になるとインシュリン感受性も増加してダイエットには効果的です。これにはやはり日常生活で少しでもマメに体を動かす努力が必要です。
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